恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~
雪也は言いながら花澄の手を取り、窓際の方へと足を向けた。
桂川に面した窓の前で足を止め、花澄を引き寄せて後ろから抱き竦める。
……愛おしい、という感情が背越しに伝わる。
雪也の唇が後ろから花澄の耳に触れ、何度も優しいキスを落とす。
その感触にぼうっとした花澄の右手がいつのまにか取られ、中指から指輪が外される。
「……雪くん……っ」
「これが兄貴が買った指輪なら川に放り投げるけど、……あいにくこの指輪には俺も見覚えがある」
「……っ……」
「でも……、兄貴から贈られたものであることに変わりはない」