恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~



23:00。


行燈が映し出す二人の影が、壁に揺れる。

襖の格子模様が白いシーツに影を作る中、花澄は雪也の体の下でうっすらと汗を浮かべ、熱い息を零していた。

雪也の額から滴り落ちる汗も、扇情的なその表情も……

雪也の全てが花澄の心を甘く溶かし、恋獄へと引きずり込んでいく。


「……だめ、もう……雪くん……っ」

「まだ足りない。全然足りない。……この数日間、俺がどんな気持ちでいたか。君もそれはわかっているはずだ」


雪也の言葉が花澄の抵抗を奪っていく。

花澄は熱に溶けた頭でぼんやりと雪也を見た。

……自分の心の全てを見通してしまう雪也。

体を繋げた今、二人の心の距離は今まで以上に近いものになっている。


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