恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~
五章
1.二人の決意
翌日。
二人は京都駅から新幹線に乗り、小田原駅に降り立った。
そのままロータリーに停車していたタクシーに乗り、指定された店へと向かう。
11:30。
二人は郊外にある瀟洒な店の前でタクシーを降りた。
伝統的なヨーロッパの建築様式で建てられた赤い煉瓦の洋館と、丁寧に手入れされたグリーンガーデンが青空の下、鮮やかに映えている。
看板を見る限りフランス料理の店らしいが……。
花澄は携帯を開き父からのメールを確認した。
父はどうやら既に店内にいるようだ。
二人はエントランスのアーチをくぐり、店内に足を踏み入れた。
中に入った二人は、店員に案内され奥の個室に通された。
個室は南向きで、出窓から昼の穏やかな日差しが部屋の中へと差し込んでいる。
部屋の広さは8畳ほどだろうか、床に敷き詰められた濃緋の絨毯と焦茶のウォールナットのテーブル、そして綺麗に整えられた銀のカトラリー類がとても上品な雰囲気だ。
部屋に入ると、窓際に立つ繁次の姿が目に入った。
繁次は二人を振り返り────目を見開いた。