恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~



真剣な光を帯びた雪也の瞳に、花澄は目を見開いた。

もう自分の心は、雪也でいっぱいなのに……

自分の心を誰よりも察してくれる雪也が、どうしてそんなことを言うのか……。


花澄はそこまで思ったところで、内心で首を傾げた。

雪也に再会した後、雪也には縁談があるし自分に本気になるわけがないと思っていた。

けれど雪也は昔と変わらない、熱い気持ちを自分にぶつけてきた。

雪也の激情に触れて初めて、雪也が本気だと言うことを知った。


『俺の心を一番理解している君が、一番肝心な部分だけは見ようとしない』


────再会した時の雪也の言葉。


ひょっとしたら……。

一番肝心の部分は、お互いに見えないのかもしれない。

言葉にしなければ、伝わらないのかもしれない。

と思った時、雪也が辛そうに言った。

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