恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~



「……ごめん。君が例え環を好きでも、もう俺は君を離さない」

「……雪くん……」

「誰にも君は渡さない。兄貴にも、環にも……」


雪也の切ない声が耳を打つ。

花澄は雪也を見上げた。


……一番肝心な部分は、言葉にしないと伝わらない。


胸の奥から熱いものが込み上げる。

……これからの二人の未来のために、自分が今、伝えなければならないこと。

花澄は意を決し、口を開いた。


「……雪くん……」

「……花澄?」


いつもと違う花澄の声に、雪也は瞳を瞬かせた。

花澄は雪也をじっと見つめ、言った。


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