恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~
ずっと自分を見つめてくれた雪也。
彼の優しい気持ちが、深い愛情が、花澄の心を優しく包んでくれた。
彼の真っ直ぐな心根に、自分の弱さを知りつつも周りの人のために行動しようとする強い心に、花澄はずっと惹かれてきた。
……そして、再会した後。
自らの醜さを晒しても自分との関係を変えようとした雪也の勇気に、花澄の心は強く惹き込まれた。
「もともと縁談は全て断ってる。……でももう一度、はっきり親に言うよ。俺は花澄と結婚するって」
「うん」
雪也は少し体を離し、花澄の両頬をそっと手で包み込んだ。
その優しい瞳に、包み込むような穏やかな瞳に、心が温かくなる。
ふと視線を流すと、左手首に付けられた雪也の腕時計が目に入る。
自動巻きのそれは振動でネジが巻かれるため、身に着けていないと止まってしまうが、着けている間はずっと動き続ける。
『こいつは自動巻きなんだ。手が掛かるけど、その分愛着がわく。『私を動かすのはあなただけ』ってこいつに言われてる気がするんだ』