恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~
「……知ってる? 俺、あのとき君に一目惚れしたんだよ?」
「……えっ?」
「正確に言うと君の心に一目惚れしたって感じかな。君しかいないって直感的に思った」
「雪くん……」
雪也は昔と変わらない、穏やかな澄んだ双眸で月を見上げている。
雪也の瞳に月の光が映り込み、清冽な美しさを帯びる。
その瞳に映る真っ直ぐで優しい心に花澄はずっと惹かれてきた。
二人の関係は昔とは変わったけれど、互いの心は変わらない。
「……花澄……」
「?」
「俺を『選んで』くれて、……ありがとう」
雪也は優しい瞳で花澄を見下ろし、形の良い口元に笑みを浮かべる。
……その瞳から伝わる、深く優しい愛情。
雪也の瞳を見ているだけで胸に温かいものが広がっていく。
花澄は微笑し、軽く首を振った。