恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~



「ううん、お礼を言うのは私の方。……雪くんの優しさが、私に強さをくれたの」

「花澄……」

「私はもう雪くん以外、好きになれない。だから他の人を傷つけるかもしれなくても、雪くんの傍に居るのは私だけでありたいって、そう思うの……」


花澄はくすりと笑い、雪也を見上げた。

ずっと『選ぶ』ことに恐怖心を持っていた自分。

けれど今は、自分の何を犠牲にしてでも、他の人を傷つけてでも、雪也の傍にいたいと思う。

『強くなった』と言えば聞こえはいいが、我儘になったと言えなくもない。


「……こんな私は、嫌?」


と、花澄が言うと。

雪也はすっと腕を伸ばし、花澄の肩を横から抱き込んだ。


「そんなわけないだろ。いったい何年、君を見てたと思ってるの?」

「ふふっ、そうだね……」

「それに……、君がそんな風に思うのは俺に対してだけだ。だろ?」


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