恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~



雪也はにこりと笑って言う。

昔と変わらない、その朗らかな微笑み。

外見は変わったかもしれないけれど、内面は変わらない……。

花澄は胸に広がる切ない痛みに、内心で唇を噛みしめた。


それにしても……。

雪也に酒を注ぐなど、7年前は想像もしなかった。

考えてみれば、雪也と酒を飲むのはこれが初めてだ。

お互い大人になったんだな、と7年の歳月の重みを内心で噛みしめたとき。


花澄の隣で、ふっと空気が動いた。

息を飲んだ花澄の耳に、雪也が囁く。



「────ようやく、君に会えた」



思わず顔を上げた花澄の視界に飛び込んできたのは、雪也の笑顔だった。

自分に会えたことが嬉しいと、真っ直ぐに告げているその澄んだ瞳。


花澄は魅入られたように雪也の笑顔を見つめていた。

幼い頃から大好きだった、雪也の笑顔。

いつも花澄の心を優しく包んでくれた、その優しい笑顔……。


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