恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~
やがて雪也の隣に、ビール瓶やグラスを手にした男性達が集まり始めた。
彼らは雪也の高校時代のクラスメイトで、花澄も何人かは見覚えがある。
7年ぶりに同窓会に出席した雪也に積もる話があるのだろう。
彼らは雪也のグラスにビールを注ぎながら、口々に話を始める。
邪魔しては悪いだろうし、今なら離れても不自然には見えないだろう。
……と、こっそり立ち上がろうとした花澄だったが。
「……っ!」
テーブルの下でとっさに手を掴まれ、花澄は思わず息を飲んだ。
……その、力強さ。
硬直した花澄の手を、雪也はさらに強く握りしめる。
────『行かせない』と告げる、その手。
花澄はぺたんとその場に座り込んだ。
……手から伝わる、温かさ。
7年ぶりの雪也の手の感触に、胸が物凄い勢いでバクバクと動き出す。
このままでは、まずい…………。
花澄は俯き、項垂れた。
自分の頬や耳たぶが鬼灯のように赤くなっているのが自分でもわかる。
花澄は自分のグラスに手を伸ばし、のぼせた頭を冷やすようにビールを一気に傾けた。