恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~



────14:00。


晴れ空の下、海からの寒風が人工的な建物の周りを枯葉を巻き上げて吹き過ぎていく。

花澄と宮澤はゆりかもめの『国際展示場正門』駅を出た後、東京ビックサイトの入り口をくぐった。


「えっと確か、『西3ホール』だったような気が」

「西……というと、こちらですかね?」


二人は辺りを見回しながら案内に従い、西展示棟の方へと歩いていった。

途中、アトリウムと呼ばれる広い吹き抜けのスペースを通り、ホールの入り口へと歩を進める。

やがて『繊維産業シンポジウム / 展示会』と書かれた看板が見えてきた。


「……お、あれっぽいな?」

「そうですね」


宮澤は看板の前に立っていた係員に名刺を渡し、中に入った。

花澄も宮澤に続いて名刺を渡し、中に入る。

花澄は入り口に山積みになっている場内パンフを手に取り、広げた。

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