恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~



花澄は心に湧き上がる想いをゆっくりと言葉に変え、言った。

雪也の将来には、雪也を支えるだけの力のある女性が必要だ。

家柄、財力、コネ……。

例えば『川波重工』の令嬢のような女性なら充分にその役目を果たせるだろう。

身一つの自分とは違って……。


花澄は胸にこみ上げる痛みを無理やり抑え込み、賢吾を見上げた。

賢吾はじっと花澄を見つめた後、はぁと小さなため息をついた。

何かを悟ったかのような、どこか諦観したかのような、その瞳……。


「……なるほどね。君は全く変わってないね、7年前から」

「……え?」

「そしてあいつも全く変わってない。……いくら努力しても、努力すべきポイントを間違えたら望むものは永遠に手に入らない。まだわかってなさそうだな、あいつは……」



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