恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~
10歳の時。
花澄と雪也は互いの祖父母の意向により、許婚となった。
幼い頃から花澄は雪也に淡い想いを抱いており、雪也もまた花澄を大切に想っていた。
しかし7年前、とある事件により二人の婚約は破棄された。
破棄を申し出たのは雪也だが、彼にそうさせたのはまぎれもない自分だ。
……そう、7年前。
自分は雪也をひどく傷つけてしまったのだ……。
その後悔は、7年経った今でも花澄の胸から消えてはいない。
どうして今日、このときに再会してしまったのか……。
花澄は目を伏せ、胸に溜まった苦いものを飲み下すようにグラスの水を一口飲んだ……。