恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~



花澄は驚き、目を見開いた。

……高校の頃。

花澄は雪也と何度か一緒に遊んだことがあるが、それはいつもアウトドアだったりゲーセンだったりと、ロマンチックさとは程遠いものだった。

花澄は心の中で、いつか雪也とロマンチックなデートをしたいなと密かに思っていたのだが……。

驚く花澄に、雪也は少し笑って告げる。


「……本当は、高校の頃も君とこういうデートをしてみたかったんだ。けれど一度でもしてしまったら、気持ちに歯止めが利かなくなりそうで。だからずっと我慢してた」

「雪くん……」


花澄は胸を打たれ、まじまじと雪也を見た。

雪也は本当に昔から、自分のことを想ってくれていたのだ。

雪也はその月の光を溶かしたかのような透明感のある瞳を細め、微笑う。


「今日の君は本当に綺麗だ。……あのクリスマスの日も、君だと一瞬分からなかったほど、綺麗になったなって思ったけど……。今日はあの時より、もっと綺麗だ」


雪也の瞳に一瞬、熱情の影がよぎる。

……花澄の心を掠め取ろうとするかのような、その瞳。

花澄は思わずドキッとし、慌てて首を振った。


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