フラットとシャープ

社長やら上司やらの意見にはあまり反発もせず、むしろ言われたことを着々とこなしていく由美子は社内でも面白い人間とは思われない一方で、信頼を得ているのは確かだった。

「荷造りとか大学のサークルの合宿以来だなあ。」

ふと、学生時代を思い出す。

周平と出会ったのも、野球サークルでだった。

由美子はそこでマネージャーをしていて、周平が一塁を守っている姿に、周平はいつもグラウンドに落ちてるボールを拾っている由美子の姿に、お互いなんとなく意識をしていて、ある日周平から「付き合ってほしい。」と言われたのが始まりだった。