背徳の香り
その本を見つめていたわたしは、ふと背後に気配を感じる。
振り向くわたしの目に飛びこんできたのは。
――彼。
「なんで……」
「懐かしいだろう? その本」
動揺するわたしのほうへ、彼はゆっくりと近づいてくる。
「俺は、いまでも時々その本を眺めにここへくるんだ」
笑みを浮かべる彼は、5年前のあの頃と全然変わっていない。
長身でバランスの良い体躯。
うっかり惹きこまれてしまう、蠱惑的な切れ長の瞳。
つい魅入ってしまう、誘うように緩く開いた口もと。
動けないわたしを囲うように、彼は、わたしの後ろの本棚へと両手をついた。
振り向くわたしの目に飛びこんできたのは。
――彼。
「なんで……」
「懐かしいだろう? その本」
動揺するわたしのほうへ、彼はゆっくりと近づいてくる。
「俺は、いまでも時々その本を眺めにここへくるんだ」
笑みを浮かべる彼は、5年前のあの頃と全然変わっていない。
長身でバランスの良い体躯。
うっかり惹きこまれてしまう、蠱惑的な切れ長の瞳。
つい魅入ってしまう、誘うように緩く開いた口もと。
動けないわたしを囲うように、彼は、わたしの後ろの本棚へと両手をついた。