ロボット少年


「今の顔、怒ってる顔、悲しい顔、嬉しい顔、さあどれ?」


千佳はお構いなしに続けている。


晃さんは、そんな千佳に一瞥をくれるだけで、また本に目を落とした。



「良いんじゃないの、好きにさせれば」






「…嬉しい顔?」

太一が言った。


「当たり!なんだ、見えるんじゃん」


「偶然だろ」


「えー、じゃあ、太一に良いものあげる」


千佳がそう言って、服の中から、漫画を取り出した。
< 102 / 116 >

この作品をシェア

pagetop