ロボット少年
そして、おっちゃん。

この人は、
何者なんだろう。

イマイチ謎な部分が多い。

年齢不詳、出身地不詳。

変なおっちゃんだ。

仕事は、屋台でラーメン屋をしていると言うが、本当なんだろうか。


「隼人、おめさん、"かおすりろん"てやつを知ってるか?」


「顔擦り論?」

横から司さんが、すっとんきょうな声で言った。

「カオス理論のこと?」

前に、何かの本でその言葉が出てきて、調べたことを思い出した。

「確か、ある物事に、必要な手順とか規則があるのに、その結果は予想出来ない、とか、そんな感じのことだよな」

俺はやっぱり、腐っても有名私立中学の卒業生だ。

この時、話を聞いていた光輝は、俺を尊敬の眼差しで見ていた。

頼むから、そんな目で見るな。


「で、何が言いたいんだよ」


「俺らの生活も、そんなもんじゃねえかと思ってね」

「は?」

「どうすることが一番正しいか、分かっているときでも、結果は予想通りにはいかねぇもんだっけさ」

なんとなく、言いたいことはわかる。


「例えばよ、お、今日は人がたくさん来る日だから、屋台出しに行かなきゃなんねえ日でもよ、
俺は今ここで茶ぁを飲んでる。まさに、カオス理論だよなぁ」


「全然違う」




こんな人達と、俺は家族になった。
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