ロボット少年
木造の、古い家の引き戸を開けて中に入ると、
「おっちゃん、おかえり」
そう言って、小学校の高学年くらいの女の子が飛び出してきた。
くるりとした目を俺に向けて、
だれ?
とおじさんに言った。
「うむ、真琴はいるかいね?」
直接その言葉には応えず、おじさんは廊下の先を見た。
「おっちゃん、おかえり」
今度は、俺と同い年くらいの女の子が出て来た。
どうやら向こうは台所らしい。
エプロンをつけた女の子は、優しい瞳を俺に向けた。
「服、乾かすね」
リビングに入ると、数人の子供が、話していた。
タバコを吸いながら雑談する高校生らしい男達、
トランプをする男の子と女の子。
「おめさんも、夕飯食ってくかいね」
返事に困っていると、さっきの小さな女の子が、
お兄ちゃんも、食べようよ!
そう言って、手を引っ張った。
夕飯を食べているとき、この家がどういう場所か、大体を教えてもらった。
親から逃げてきた子や、うざがって家出した子。
みんな、このおじさんに連れてこられて、来たんだ。
なるほど、みんな、このおじさんに懐いている。
親にも、この人が話を着けたらしい。
タバコを吸っていた高校生の1人が、なつっこい笑顔で、説明した。
このときから、俺とこの家の住人達との関係は始まっていたのだ。