ロボット少年
初めて家に行ったときに、勢い良く飛び出してきた女の子が、
松永千佳。
小学校高学年位かと思ったが、意外にも、中学一年だそうだ。


活発で、おしゃべり。
このくらいの年齢の子だと、この性格で、モテるのだろう。

最も、顔の可愛らしいのも、手伝っているが。


肩の上まで切ってある、真っ直ぐな黒髪が、可愛らしい。



「隼人、って言うんだ」

「そーだけど。何?」

「あたしの席の隣の男の子もね、同じ名前」

「そう」

「隼人、彼女っているの?」

いきなり、呼び捨てかよ。

「別に」


「別に、何?いるか、いないか、聞いてるんじゃん」

ぐっ。

「あたしが、かわいい子、紹介してあげる」

得意そうに、千佳が言った。

「やだよ、中学生なんて」
「何よ、大して変わんないじゃん!」

「それに、女なら間に合ってるっつーの」

言った後に、ヤバい、と思った。

これは、嘘ではない。
ただ、彼女かと聞かれれば、答えはNOだ。

互いに、都合の良いときに欲を発散する、都合の良い関係だ。


今の俺の投げやりな言い方で、この言葉の意味が伝わってしまったら、よくない気がした。

ませていても、千佳は中1だ。

だが、千佳は勘ぐる様子もなく、

「そーなの?やるじゃん♪」

とニヤニヤしながらこちらを見るだけだった。

「いーな、あたしまだ彼氏出来たことないんだぁ」
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