ただ、逢いたい
☆プロローグ



部屋の真ん中で、携帯を見つめながらため息を吐く。



うんともすんとも言わない携帯を、ベッドの上に投げ捨てる。


そして、ベッドに背を向けてうずくまる。



こうなったのは、自分が悪いってことぐらい分かっている。


それに、これは自分で決めたはずだから。






携帯が普及してから、連絡がラクになった。


いつでもどこでも電話が出来て、メールも出来る。


そして、小さい子から大人、お年寄りまで、誰もが当たり前に携帯を持っている世の中になった。



それはそれで、いいと思う。



だけど、時々思うんだ。


携帯なんてなければいいのに、と。



簡単な連絡手段がなくなれば、こんな気持ちにならなくて良かったのに。




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