ただ、逢いたい
「大丈夫だよ。
朝井さんはちゃんとやっているし、あとは藤井くんの頑張り次第だよ。
俺は、平気だから」
そうやって、優しい言葉と笑顔で言われる。
普通の女性なら、ここでコロッと惚れてしまうのだろう。
惚れなくとも、ドキッと心臓が高鳴るところだろう。
「そう言っていただけると、助かります」
あたしは、軽く会釈をした。
残念ながら、あたしは普通の女性ではないみたいで、簡単には落ちない。
揺れ動くことも、ない。
いい人だとは思うけど、ただそれだけ。
なぜそこまで騒がれるのか、不思議でならない。
「あ、青山さぁん」
2人で歩いていると、甘ったるい声がした。