ただ、逢いたい
休憩時間も削っているぐらい。
根詰めすぎもよくないと思いつつも、勇人くんのことを忘れられているから、それはそれで良かったんだ。
手があくと、どうしても考えてしまうから。
そんなのは、逃げだと分かっている。
だけど、真実を知るまでは少しでも目を背けていたかった。
「朝井さん、このチェックを明日までに頼める?
どうしても苦手なのよね」
沙希さんが苦笑いをしながら、書類を差し出して来た。
沙希さんは、チェック作業が苦手らしい。
絶対見落としがあるからと、やりたがらない。
「もちろん、朝井さんの仕事を何かやるわ。
交換で」
だからよく、交換でチェック作業をあたしに回して来た。