ただ、逢いたい
「早くミスをなくさないと、独り立ち出来ないよ?」
だけど、仕事は仕事。
呆れたように、あたしは言う。
同い年でも、社会人歴が少し違うだけでこうも違うのか、不思議に思ってしまう。
「独り立ち……しなくてもいいけど」
「ん?なに?」
ぼそっと呟いた言葉は、あたしの耳には届かなかった。
でも、何か言っているのは分かったから、聞き返した。
「イヤ、何でもない」
だけど、首を振ってそう言った。
「とりあえず、コレ直すよ」
「うん、お願いね」
少し寂しそうな表情をしたのが気になった。
けれど、それ以上は何も言えなかった。
藤井くんが、仕事に戻ってしまったから。
それを、邪魔することは出来なかった。