ただ、逢いたい
悪いとは思いながらも、今日の食事会はお開きにした。
とても、続ける気にはなれなかった。
それに、これ以上一緒にいると甘えてしまいそうで。
甘えるのは、彩菜と紗弓だけでいい。
ただの後輩くんに甘える訳にはいかない。
「藤井くん、ごめんね。
今度、埋め合わせするから」
店を出たあと、顔の前で手を合わせて謝った。
本当に、振り回してしまった。
だから、今度はあたしが誘って、あたしが奢るべきなんだ。
なのに、藤井くんは笑顔で首を振る。
「埋め合わせはいらないよ」
「え?」