ただ、逢いたい
柔らかい表情で、青山さんが聞いて来た。
だけど、何でもないと首を振る。
あたしから、何か言える訳がない。
青山さんが気付いていないのなら、尚更だ。
むやみに、突っ込まない方が身の為だと思う。
「朝井さん、帰ろう。
終わっただろう?」
急に、藤井くんが声をかけてきた。
表情は、普通だった。
だけど、声は少し低くなっている。
「え?
あ、うん。終わったけど」
「じゃあ、帰ろう」
1度も青山さんを見ることなく、不機嫌そうな声であたしの腕を引っ張った。