ただ、逢いたい
「ちょっ……、ちょっと、藤井くん?」
あたしの言葉は一切聞かずに、力強く引っ張られる。
どうしてこんな状況になっているか分からず、あたしはおろおろするだけ。
青山さんを見ると、にこやかに笑っている。
その理由も分からない。
「あ、お疲れ様でしたっ」
腕を引っ張られたまま、部署を出ようとしていたため、なんとか青山さんに挨拶をした。
そして、藤井くんの方を向いてついていく。
藤井くんは、何も言わないまま出た。
「まだまだ、若いなぁ」
部署内に残された青山さんは、そんなことを言って、1人笑っていた。