ただ、逢いたい
だから、大丈夫としか言えなかった。
「えっと、あたしこっちだから。
帰るね」
これ以上、一緒にいるのは居づらかった。
ちょうど分かれ道に着いたから、そう言った。
だけど、藤井くんはあたしの手を掴んで、止めたんだ。
「え?
な、なに?」
その行動には、かなり驚いた。
やっぱり、変だ。
青山さんが来てから、何かがおかしい。
今も、何かを話したそうにしているくせに、何も言わない。
あたしの手を掴んだまま俯いて、黙り込んでいる。