ただ、逢いたい
それから電話を切って、あたしは目的地の方へ歩き出した。
いつものところとは、よく3人で行く居酒屋のこと。
アットホームな雰囲気で、個室もあって話しやすく、3人のお気に入りの場所だ。
ここからだと、10分ぐらいで着く。
久しぶりに彩菜に逢えるのは、嬉しい。
だけど、何を話されるのか怖くて、少し足取りが重たい。
それでも、あたしも話さなきゃいけないんだ。
それに、前に進むためには、きちんと聞かなければならない。
そう思っていても、足取りは重かった。
10分で着く道のりを、20分かけてしまった。
着いた時には、もう彩菜が来ていた。