ただ、逢いたい
「大丈夫ですか?
帰りますよ?」
「えー、もうそんな時間……?」
起きようとする沙希さんに、手を貸して手伝う。
寝呆けた表情が、やけに色っぽい。
30歳を過ぎたとはいえ、まだ色気がある。
寝起きの無防備さも手伝って、かなりの色気だ。
「お前、無防備すぎる」
そう言って、沙希さんの腕を掴んで立たせたのは、青山さんだった。
あたしは、急に起きた出来事に唖然とする。
しかも、仲がいいのか“お前”と言った。
それに、青山さんの言葉遣いも仕事とは違う。