ただ、逢いたい



この時からだった。

あたしの気持ちにも変化が出て来たのは。



いつも不安定で、何気ない一言にドキドキしたりして。


ふとした行動にも心臓が揺れ動く。



逢えない時も彼のことを考えて、勝手に不安になって。


ただのメールに喜んで。



これはもう、自分で自分の気持ちを認めるしかなかった。


ここまで揺れ動いたら、否定する理由がない。



それに、彼の態度を見て感じた。


あたしは、誰よりも大事にされていると。


そう思ったから、彼の気持ちも信じてみようと思った。




「ねぇ、勇人くん」




何も変わらずに逢っていた時に、あたしから切り出した。


名前を呼ぶのも、この時が初めてだった。




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