ただ、逢いたい



言った瞬間、みんながあたしを見た。


全員の注目の的になり、あたしは固まってしまった。



少しは覚悟していた、分かっていたことだ。


でも、どこかで違うと思っていた。


なのに、今本人の口から言われたことで、真実だと思い知らされた。



あたしは、どうしていいのか分からない。



ちらっと藤井くんを見ると、いつの間にかこの輪から外れていた。


あたしも外れたい。


だけど、注目されているあたしに、外れることは叶わない。


静かに、全員があたしを見たままだ。



他の部署の人たちがいたら、女がキャーキャー言って嫉妬にまみれているだろう。




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