ただ、逢いたい



すぐに目をそらすべきなんだけど、固まってしまっている。


見つめたまま、視線を合わせたまま、動かない。


足が地面と引っ付いているみたいで、体を動かすことも出来ない。


手も掴まれたまま。



どうして、こんな状況になってしまっているのだろう。



唇が震えていて、声も出せない。


何も出来ない。



だけど、思いっきり唇を噛み締めて呟いた。




「離して……」




これを言うだけで、精一杯だった。


他には、何も言えなかった。


それでも、とにかく離れたかった。




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