ただ、逢いたい



あたしは、藤井くんの言葉を遮って、泣き崩れた。


休憩室とはいえ、会社の中だというのに、泣いた。


我慢していたのに、最後の壁が崩壊してしまった。



見られているとは、思わなかった。


街中であった出来事だから、見られていてもおかしくはない。


それでも、見られているなんて……。


それに、よりによって藤井くんだなんて。


残業もなく、早く帰ったはずなのに。



藤井くんは、その現場を見てどう思ったのだろう。


好きな女が、他の男と話している。


しかも、様子を見ていたら訳ありっぽい。


以前、何かがあったと、すぐに分かるよね。




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