ただ、逢いたい
まさか、電話が来るとは思わなかったから、普通に出た。
緊張もせずに、普段通りに出てしまった。
だけど、声を聞いたとたん、頭が真っ白になった。
何が起きたのか分からなくて、一言も言葉が出なかった。
聞きたいと願った人の声だけど、実際はどうしていいか分からなくなる。
『風華?』
もう一度、優しい声で名前を呼ばれる。
この前もだったけど、今でも名前で呼んでくれる。
それが、たまらなく嬉しかった。
だけど、いざ話そうとすると、言葉に詰まってしまう。