ただ、逢いたい
思うように、声が出ない。
でも、何か言わないといけない。
そうやって悩めば悩むほど、何を言っていいか分からなくなる。
『俺だって分からずに、電話に出た?』
フッと、笑みが零れた。
久しぶりの笑い声。
懐かしくも、切なくも感じる。
「……ごめんなさい」
やっと出た言葉は、謝罪の言葉だった。
『何で、謝るの?』
笑いながら言われた。
笑い声が、耳をくすぐる。
それだけで、胸の高鳴りが止まらない。