ただ、逢いたい
「でもね、ダメだったんだ。不意に思い出しちゃって。
あの子に、久しぶりに逢った時だって。
決定的だったのは、勇人くんに久しぶりに逢った時。
瞬間に、まだこんなに好きなんだって、自覚したんだ」
その言葉に、あたしの手を握っている勇人くんの手に、力が入った。
「会社の人に告白されたのも事実。
だけど、全て断ったよ。
だって、あたしはまだ、勇人くんが好きなんだから」
自分にしては珍しく、はっきり言った。
遠回しに言ったって、仕方ないことだから。
「良かったぁー」
大きく息を吐き出すと共に、安心したように言う。