ただ、逢いたい



「だから、諦めたの。
どう言っても、勇人くんの目には風華しか映らない。
始まりが悪いんだから、当たり前なんだけどね。
それで、勇人くんとの別れを受け入れたんだ」



「そうだったんだ……」




言葉は、あっさりしている。

だけど、表情は寂しそうに見えた。




「今はもう、恨んでいないよ。
ただ、悪いことしていた自覚はあるから。
風華に、ちゃんと謝りたかったの」



「そんなこと、気にしないで。
恨む気持ちも分かるから」




由梨だけじゃない。

あたしだって、恨んだ。

勇人くんを取られたことで、恨んでしまったから。




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