ただ、逢いたい
『逢いたいの?』
彩菜は、ずばりと聞いてくる。
「うん……」
あたしは、一呼吸おいてから呟くように言った。
本当は、“逢いたい”なんて思うこと自体、許されないこと。
自分からやめたくせに、逢いたいなんて都合が良すぎるから。
『そっか。
とりあえず、気分転換に遊ぼう?
そうだ、久しぶりに飲みに行こう。そうすれば、多少は気分が晴れるでしょう?』
彩菜が明るい声で言う。
いつもこうやって、何かと気分転換を考えてくれる。
本当にあたしは、周りに迷惑をかけている。
辛いのは、あたし1人じないのに。
あたしだけが被害者ぶって、周りを困らせる。
誰よりも、あたしが悪いのに。