ただ、逢いたい
だけどこの瞬間、全てが現実だと知らされた気がした。
突き付けられたんだ。
今、あたしの視線の先にいるのは、由梨だ。
そう、勇人くんを甘ったるい声で呼んだのは、
他でもない由梨だったんだ。
2人は、仲良さそうに話している。
見たくない光景のはずなのに、凝視したまま。
そのうち2人は、あたしに気付くことなく腕を組んで行ってしまった。
その姿を、ずっと目で追っていた。
視線しか、動かなかったんだ。
地面と足がくっついたみたいで、1歩を踏み出すことが出来なかった。
手も震えていて、上手く動かすことが出来ない。
“何で”
“どうして”
そればかりが頭の中を回っている。