ただ、逢いたい
知った上で奪ったのか。
あたしを傷つけたかったのか。
友達と思っていたのは、あたしだけだったのだろうか。
何が真実か、分からなかった。
ただ1つ分かるのは、
現在勇人くんと由梨が付き合っているということだけ。
その現実を目の前で見せつけられたあたしは、受け入れるしかない。
でも、見たくなかった。
知らないままで良かった。
あたしは、エスカレーター近くの椅子に座り込んだまま、立ち上がることが出来なかった。
いつの間にか、目からは涙が零れていた。
こんなことを今知るぐらいなら、
“好きな人がいるから付き合えない”
と、はっきり言って欲しかった。