ただ、逢いたい
そんなこと、絶対本人には聞けないし。
2人の付き合いは、未だに分からないことだらけだ。
「まぁ、理由は何であれ、会社を辞めてくれて友達は喜んでいたけど」
そう言う沙希さんの表情も、にこやかだった。
「そうですよね。
やっかいな部下がいなくなったんですから」
こんな部下がいなくなれば、誰だって嬉しくもなる。
誰もが辞めることを、願っていただろうから。
「私も、安心したわ。
あの子は、ちょっと異常だったからね。
残念に思う人なんて、いなかったわ。
ただ、結婚話しが本当かどうか、気になっているだけ」
「……そんな子が結婚なんて、ありえないですよね」