保健委員の中原くん
確か前にりっちゃんがケータイ小説を読みながら言ってたような気がする。
ボーっとする頭で思い出した。
「ちょっと熱っぽいから、体温計かしてもらおうかと思って……」
「あっ、そうなんだ。えっとねー、ハイ体温計。そこのソファに座って測ってね?」
そう言って中原くんは、無邪気な笑顔を見せてあたしに体温計を渡した。
うわ、よくみれば中原くんってかっこよくないか?
睫毛も長いし……
女の子に見えなくもないくらい、可愛らしい顔つきをしている。
肌も白いし、それとは対照的に真っ黒な艶のある髪。
長い睫毛に縁取られたくっきり二重の瞳。
背もそこそこあり、細身の体。
モテちゃったりするのかな、中原くん。
「中原くんて、保健委員なの?」
そうあたしが問うと、中原くんはにこーっとした表情で口を開いた。
「あー、うん。俺、保健委員なんだよ。今ちょうど先生が職員室いってるから、留守番頼まれた」
「そ、そうなんだー」
すると、ピピピピっという機会音。
あたしは自分の脇に挟んでいた体温計を抜き取る。
「どうだった?熱、ある?」
「さ、37度6分……」