誘惑の夜
「少し飲みませんか?」

色気のある唇が動く様子を見つめる。一際女子の注目を攫っていた捧さん。より理知的に見せるセルフレームの眼鏡、ストライプの細身のスーツ。自分を知っている人。

私の答えを待たず、「僕の知ってるお店でいいですか?」と歩き出した彼の横に並んだ。

明日から出張の年下彼氏の部屋にワイン片手にお邪魔する訳にいかないし、私よりお酒に強い男に会った例がない。何より、お酒は一人より二人が楽しい。
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