誘惑の夜
「美味しそうに飲みますね。さっきは物足りなさそうにしてたから」

最後の一口を飲み干したワイングラスをカウンターに置くと、隣に座る捧さんは私を見て満足そうな笑みを浮かべる。

「バレてました? 合コンの時は女らしくカクテルにしとけって、学生時代にアドバイスされて」

肩を竦めれば、彼はくすりと笑う。

「正解ですね。菜々子さんのように可愛らしい女性がビール煽ってる姿は想像し難いですから」

何度も言われてきたセリフ。元来の姉御肌気質なのに外観はまるで正反対の私。恋愛だって守られるよりリードしたい。
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