誘惑の夜
「飲みっぷりのいい菜々子さんも、仕事の時の強気なあなたを見ているようで好きですけど」

――仕事?思わず眼を見開いて捧さんを見つめる。確かに、頭の片隅に彼の残像がある。

「やっぱり、僕の名前を覚えていたというのは出任せですね。先週も私の会社でお見掛けしましたよ。うちの手強い部長から一本取ってましたね。恐らく、契約も間近ですよ」

そう言って眼鏡を外した彼の瞳に、私を狙う雄の欲望の光が差し込む。カウンターの下で重ねられた節榑立った手。捧さんの親指が私の小指を擽ぐる。

「……でも僕は、ぐだぐだに甘やかされているあなたも見てみたい」

耳元に頬を寄せた彼が囁く。

‘ぐだぐだに’なんて、あの綺麗に整った唇が象ったのだと考えたら、下腹部がきゅんと音を鳴らした。
< 4 / 4 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:4

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

Uncontrolled(アンコントロールド)

総文字数/43,601

恋愛(キケン・ダーク)59ページ

表紙を見る
最後の男(ひと)

総文字数/35,762

恋愛(オフィスラブ)53ページ

表紙を見る
欲しがりなくちびる

総文字数/100,386

恋愛(キケン・ダーク)172ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop