体育館の天井に挟まっているバレーボール
じんわりと目もとが熱くなる。
まさか自分が泣きそうになるとは思わなかった。
唇を噛んで、なにもなかったように振る舞う。
映画館に着いても、相変わらず先輩は私を待たずどんどん先へ歩いていった。
「あと十分で始まるぞ。」
高校生は千円。
先輩は財布から一気に二千円を出し券売機に突っ込む。
「ポップコーン買っとけ。あとお前飲み物何がいい?」
「ミルクティー。」
先輩と役割分担をし私は売店に急ぐ。
前に先輩と映画に来たときはもっとゆっくり出来てたのになぁ、と走りながら思った。
劇場に入ってなんとか席を見つけ出し座る。
「ギリギリでしたね。」
「まぁ座れたしいいんじゃねーの。」
「何の映画なんですか?」
「俺が好きな女優が主演のやつ、ってぇ!?お前蹴るなよ‼」
なんかムカつく、と思うとひたすら先輩に反抗したくなった。
さっき買ってきたポップコーンの袋を開ける。
隣で先輩が顔を顰めたのが分かった。
「お前、映画始まってから食べる派じゃなかったのかよ。」
「最近食べたいときに食べる派に変わったんです。」
「それ太る思考だぞってぇ‼だから蹴るなよ‼」