体育館の天井に挟まっているバレーボール
コーヒー飲みたいという先輩の意見により近くのカフェに寄ることになった。
甘党の私はホットミルクで先輩はコーヒーのブラック。
愛想のいい店員さんが運んできてくれても先輩はコーヒーに手をつけようとはしなかった。
というか、何か考えることに集中しすぎてコーヒーが来たことも認識していないようだった。
雰囲気は、まさに別れ話。
別れを言われたら、なんて言うのが正解なのだろうか。
というか、私はどうしたいんだろう。
たっぷり五分ほど熟考して、先輩は口を開いた。
「俺が引っ越しのこと、お前に言わなかったのは、どう言えばいいのか分からなかったんだ。」
「はぁ。」
「どんな言葉で言ったってお前は多分傷つくだろ。でも、出来るならばダメージが少ない伝え方をしたくて、色んな奴らからアドバイスもらってたら、お前いつの間にか知ってて。」
で、なんて言い訳すればいいのか分からないまま今日になった。
「で、結局全部素直に打ち明けることにしたんですか?」
「まぁ、それしかないな、と思ったし。」
そうですか、とそれ以外に言えなかった。