体育館の天井に挟まっているバレーボール




「先輩は、どう思ってるんですか?」

「何をだ?」

くっと、言葉が詰まった。
私は先輩に何て言って欲しいんだろう。
言わなくてごめん、と一言謝ってほしかったのだろうか。

それとも、もっと、自虐的な、終わらせるつもりなら早く終わらせてほしかったのか。

「まぁ、言わなかったのは悪かった。」

一言、そう謝り、先輩はコーヒーを口に含む。

「めんどくさいっていう考えがあったのも認める。」

主語がなくても分かった。

先輩にとって、私は何だったのだろう。
彼女とは認めてくれたけど、引っ越すことも教えられないような、そんな存在で。
私の嫉妬とかも先輩の重荷になっていたわけで。

怖かった。
別れの言葉を切り出されて、私はどんな彼女を演じればいいのだろうか。
本当はずっと、先輩から見限られるのが怖かった。

あの金髪青目の子と先輩が仲良くしてるのを聞いたときも。
私じゃないほうに心が傾いていることに気づきたくなくて。
一緒に帰れなくなった時も。
もう、先輩と一緒に帰れないかもしれなくなることが怖かった。


ずっと、そんな曖昧な何かに怯えていたんだ。




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