キャンバス【TABOO】
挑発に乗った私は掌を差し出した。
筆が走る。
「こそばい・・でも、結構力強く描くんだね」
カラフルな手になった。
「足りない・・」拓磨がぽつりと言った。
「描ききれない・・背中貸して・・」
見つめ合った。
私は服の後ろだけをめくりあげた。
筆が背中のキャンバスを走る。
ゆっくり そして早く、優しく そして強く。
その感覚と拓磨の吐息に体は感じてしまう。
「実来、ずっと好きだった。内気だった俺はもういない。今なら実来のこと幸せにできる」
「でも・・龍斗が・・」
「彼はもう、見張り役を降りてる」
「それは・・」
後ろ鏡に映った背中には、美術館と同じ絵。
彼は背中を見るだけで、私を描ける。
「私、愛されてる・・」
ぽつりと漏れた私の言葉を包み込むように、彼はキスを落とした。


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